デッドライン読書会#12「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 」の感想文

課題図書

 締切の日曜日がやってきました。第12回のデッドライン読書会(デッドライン読書会とは?)の課題図書は、「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」」でした。

感想文

 界隈では「IT業界のサグラダ・ファミリア」と呼ばれたり、日本の全IT人材の1割が関わっていると言われた巨大プロジェクト(みずほ銀行システム統合)の記録です。2部と3部では、それ以前の大規模障害の記録が書かれています。実は「闘うプログラマー(過去に書いた感想はこちら→【読書メモ】闘うプログラマー)」のように、現場の人に着目した本を期待していたのですが、そうではなく管理者や経営者のレイヤからみたお話でした。

 そういった上位の話が多い中でも、「メイト」と呼ばれたチェンジマネジメント組織の活動は現場の方々が主人公として書かれており、とても臨場感がありました。メイトは、新勘定系MINORIを用いた新業務を、各営業店にむけて研修や教育などを行う事務サポートメンバーの方々の通称です。メイトは合計170名いたとのこと。驚いたことに自ら立候補した方が40名もいたらしい。新勘定系が定着したあとは、次世代店舗の開発など新しい領域で活躍する方もいらっしゃるそうです。システムの業務定着化を組織的にしっかりフォローできているのは、さすが銀行のシステム開発だなと感じます。

 もっと明確に知りたかったのは、この巨大プロジェクトの進捗管理はどうやって行われたいたのかというところです。請負構造のピラミッドが3次、4次と深いため、トップマネジメントが参加する進捗会でどの断面の進捗を報告することができたのだろうかと興味がありました。進捗管理ツールを関係社全部で共通化できていればやりようがあるでしょう。そうでない場合、それぞれのレイヤで報告書を作り、上へ上へと報告するといったことが行われていたんですかね。

 銀行の勘定系についての概要を知りたい場合にも本書は良いと思います。

  • 勘定系と情報系、対外はどのように連携しているのか
  • どういったベンダーが関わっているのか
  • システムとしてどういったリスクがあるものなのか

こういったことが他書と比べ、多く学べると思います。

次回(#13)

 スケジュールはGoogleカレンダーで分かるようにしています。本日以降は次の要領です。

【読書メモ】哲学と宗教全史

 出口治明さんの著書「哲学と宗教全史」を読み終わりました。とても刺激を受けました。知的好奇心も満たされました。今後の勉強のためにも、読書メモを残します。

どのような書籍か

 本書のスタートは人間が言葉を獲得した時代です。20万年前にさかのぼります。人間は、言葉を獲得し、定住化し、ドメスティケーションを経て、宗教という概念を生み出しました。世界宗教としてゾロアスター教を最初のテーマにあげています。一方で、鉄製の農機具の登場と温暖化から、農作物の生産力が向上したことをきっかけに、有産階級が生まれ知識人が登場しました。これが哲学のスタートです。その後、哲学と宗教が互いに関連しながら進歩し、大陸の東と西を行き来し、ダイナミックに話が進みます。

 このあっちに行ったりこっちに行ったりの繋がりを本書は地図のように整理しています。巻頭・巻末には肖像画と一言メッセージがついたチャートがあり、迷子にならずに読み進めることができます。長くて複雑な歴史を、わずか400頁強にまとめ切ったことが本書のすごい点です。なお、バックグラウンドとなる参考書籍は数百冊に及ぶ書籍が列挙されており、圧巻です。

本書を読もうとしたきっかけ

 これまでを振り返ると、「哲学」は簡単な解説本を数冊読んだことがあります。今もちょっとずつソフィーの世界を読んでいます。「宗教」は、普段の生活での関わりもありますし、小説調の本(例えば、旧約聖書を知っていますか)を読んだことがあります。両方とも体系だった知識を持つほど勉強してはいません。

 ただ最近急激に興味をかきたてる対象になりました。「宗教」でいうと、神社仏閣巡りは普段観光の一貫でしますし、ビジネスの世界ではマインドフルネスやコンパッションといった「宗教」の考え方(もしくは心理学かもしれませんが、その源流はやはり宗教や哲学でしょう)をベースにした取り組みが流行っています。こういった流行りものは好きですが、その土台をちゃんと知っておきたいと常々思っています。「哲学」は、人間の思考のみで(自然科学より先に)世界に道標を作った人たちがどんな人だったのか。どういう考え方の営みが今の世の中を作っているのか、とても興味がありました。

今の世は何からできているのか

 今の世の仕組みの多くは、宗教としての成果、哲学としての成果の結実なのだなと本書を読み終わって感じました。いまある科学技術や考え方や行動原理は葉や花にあたる部分であり、過去ずっと営まれてきた哲学や宗教が枝や幹を作ってくれたんだと気づきました。

 本文中でも解説がありますが、これらの歴史が幹になるために統合と分離を繰り返して進化しているというのが面白かったです。よく名前を聞く偉人は、「統合」をした人が多いように感じましたね。本書は通史として、哲学と宗教を見ているため、関連性が良く分かるところが楽しいです。トマス・アクィナスが、

哲学は神学の端女である

と神学の真理と、哲学の真理に上下関係を付けてみたり。フリードリヒ・ニーチェが、

神は死んだ

と言い切ってみたり。それぞれがどう進歩していったのかがよく理解することができます。

哲学と宗教以外は?

 本書の中心は、タイトル通り、哲学と宗教です。ただし、前述した幹となる部分はこの2つ以外にもあるんだろうな。

人間の問いに答えてきたのは、昔は宗教がほとんどでした。それから哲学が台頭してきて、やがて自然科学が生まれ、生物としての人間についてほとんどすべてを説明できるようになりました。それでもまだ自然科学は万能ではなさそうです。哲学や宗教は、今、そのよう地平に到達しています。

P.17 はじめに|なぜ、今、哲学と宗教なのか?

「はじめに」では自然科学があげられていました。本書で深く踏み込んでいないため、自然科学が、宗教や哲学とともに歩んできた歴史も通史で知りたくなりました(小説だとダン・ブラウンのテーマですね)。似た観点ですと、やや宗教よりで、芸術分野もどう影響してきたかは気になります。あとは数学も幹の部分を担ったのでしょうか。少し学問寄りに考えてしまいましたが、他にも全く関係ないところに幹となる知恵があるのかもしれません。

次に何を勉強しようかな

 本書は登場人物全員について出口さんのおすすめの参考文献が記載されています。本書をガイドとして、自分の琴線に触れた人物をさらに知ることもできます。自分はデカルトの方法序説から広げてみたいな、と思っています。

加えて、日本人の登場人物が少ないため、日本人の哲学家についても著書を読んでみたいです。誰がおすすめだろう。鈴木大拙とか?もうちょっと調べてみようかな。

併読をはじめてみた

 先日のポスト:読書について 2020で、読書をする際に複数の書籍を併読することを始めたと書きました。2週間ほど実践して安定してきました。感想を残そうと思います。振り返りです。

 もともと併読を始めようと思ったわけではありません。読書のスピードをあげて、本をたくさん読めるようになりたかったわけです。そのため速読法をいくつか調べました。速読法は「練習が必要」、「1冊を特殊な読み方をする」などハードルがあり、手に取る気持ちが沸きませんでした。加えて、読書スピードが上がらない理由は、集中力が切れることや、気分が乗ってこないため習慣が途中で切れることが、原因だと思い始めました。

 そのタイミングで読んだ本が、HONZ代表の成毛さんの「本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術」です。本書で併読を勧めています。(なお、併読だけでなく読書に関する成毛さんの考え方がたくさん載っているため、タイトル以上に学びが多い本でした。)この本で言う併読とは、

  • 10冊くらいたくさん同時に読もう
  • 自分が生活する場所に併読する本を置こう
    • 通勤かばん、リビング、トイレ、などなど
  • 併読することで本同士のアイデアを混ぜ、新しい考え方を身に着けよう

 ここから自分ならできる併読法をスタートしました。

  • 4〜5冊を同時に読む。いまは、下記の5冊。
    • 深夜プラス1(小説)
    • 失敗の本質(教養書)
    • 横浜駅SF(小説)
    • ヒューマンスケールを超えて(教養書)
    • アラビアン・ナイト(児童書)
  • 1日のうちで3冊くらいかわるがわる読む
    • 飽きたり、進まみが悪くなったら、別の書へ
    • ぐんぐん進むときは、そのまま読み続ける

 この結果、読むスピードは不満にならない程度になったと思います。少し手が止まる本も、別の本に切り替えることで前へ前へ進みますからね。

 複数併読することによって、いろんなアイデアがまざるか?という点については道半ばです。アイデアを混ぜるためにはなるべくバラバラとなる選書をする必要があり、それが上手くいっていないです。併読のスキルと言うよりか、選書のセンスをあげなくてはいけないです。上にあげた本にもう1冊全然触れたことがないようなカテゴリを入れられたら良いなと思っています。

 総じて効果はありそうです。次の悩みは選書のセンスですね。選書のセンスを解決するには、

  • 良い読書家を知る
  • 良い本屋を知る
    • Amazonのリコメンドでは幅が広がらない
    • 京都の恵文社のような本屋をもっと見つけたい

といったところからスタートでしょうか。

デッドライン読書会#11「Design It!」(後半)の感想文

課題図書

 第11回のデッドライン読書会(デッドライン読書会とは?→読書×締切ではじめる「デッドライン読書会」を始めました)の課題図書は、「Design It! ―プログラマーのためのアーキテクティング入門」の後半戦です。前半戦の感想はこちらになります→デッドライン読書会#10「Design It!」(前半)の感想文。今回は、本書の後半部分(227ページ〜最後、第3部)が範囲です。

感想文

全体

 第3部はプラクティス集です。チームとしてのアーキテクト力を発揮するために有効な技法をまとめています。「理解」、「探求」、「評価」、「作成」で分類されています。紹介されている多くのプラクティスがチームとして実施することを前提としており、ワークショップ形式の活動が多いです。他書でも詳しい「インセプションデッキの作成」や、ワールドカフェ(のようなもの)もありました。辞書的に利用できるのがこの第3部です。

個別

 個別に気になったところを抜き出します。

アーキテクチャ俳句は、アーキテクチャのビューを一枚の紙に収まるように記述する。

アクティビティ21 アーキテクチャ俳句 P.305

前半戦から「俳句」とはどういった形式化を期待していましたが、五・七・五ではないんですね^^; George Fairbanksさんのスライドがあったので転載します。

サニティチェックは、コミュニケーションや理解に関するチームの問題を明らかするように設計された、手短でかんたんなエクササイズだ。

アクティビティ36 サニティチェック P.347

ちょっとしたクイズを作って出し、チームのアーキテクチャに対する責任を促すワークショップです。通常は5〜10分程度。日々のアイスブレイクに使い、こつこつアーキテクチャ能力を高める(アーキテクチャへの理解を深める)のに有用そうですね。

次回(#12)

 こつこつ開催しているデッドライン読書会は、次回は第12回になります。スケジュールはGoogleカレンダーで分かるようにしています。本日以降は以下の予定です。

読書について 2020

 石沢ケントさんが、勘と経験と読経:読書について 2020で、ご自身の読書の定点観測をされていました。

 これに加えて、最近、いくつかの読書法に触れる機会があったり、読書のために工夫していることががあるため、まとめてみようと思います。

読書のスピードと読書術について

 年間に50〜60冊(1万〜1.5万ページ)の本を読みます。1時間あたり50ページくらいでしょうか。脳内音読をするため、読むスピードは早くありません。もっとたくさん読みたいな〜というのが悩みで、早く読めるように楽読などの速読法が気になっています。まだ一歩踏み出すところまではいっていません。

 本を1冊読む、読み方については工夫はありません。純粋に頭からお尻まで、順番に読みます。

 個人で読む以外に、共同で本を読む方法論も好きです。読書体験を共有できることが楽しいわけです。

  • Acitive Book Dialogue
  • デッドライン読書会(オンラインの読書会)
  • 自分のおすすめ本を紹介する読書会
  • 輪読会

特にAcitive Book Dialogueは自分の読書体験を揺るがす画期的な方法だと感じました。

複数併読

 これまではほとんどシリアルで1冊だけを読んでいましたが、最近は並列で読書することに挑戦中です。いっけん関係が薄い複数の本を並列で読むことにより、新しいアイデアの組み合わせが起きたら良いなと考えています。今日現在だと4冊並列しています。

めざせ10冊並列です。

電子書籍か、物理書籍か?

 8割がた、物理書籍です。パラパラとページをめくる感覚がまだ必要です。それと、最近思い始めたのは、良書を集めて、家に置いておき、将来的に子どもが手にとって読んでくれないかな〜という点です。装丁がきれいな本も好きですね。で、キレイに本を置いておきたいので、本棚を自分で作るようになりました。「清く正しい本棚の作り方」を参考にしています。

 残りは電子書籍。森博嗣さんの小説、Kindle Unlimitedで読める本・雑誌が電子書籍が多いです。

 電子書籍より、物理書籍を選ぶのは、難しそうな本を読もうとすると、終わりが見えず、なかなか我慢できないというのも理由の一つです^^;

選書の方法

 次の割合で本を選びます。

  • 3割:事前に読みたい本をぐぐって貯めておく
    • 「小説」や「技術書」といったテーマで読みたい本をリスト化することを1〜2年に1回行っています。そのリストから本を調達します。古い本が多くなる傾向があります。
  • 3割:好きな著者の本を読む
    • 小説に多いです。森博嗣、池井戸潤、ダン・ブラウン、山崎豊子、など。
  • 3割:人のおすすめ、最近の流行から手に取る
  • 1割:選書本から選ぶ

どこから手に入れるのか?

  • 購入する場合
    • Amazon/楽天ブックスの新品、マーケットプレイス
    • Kindle、楽天koboで電子書籍
    • ブックオフオンラインで古本
    • (仕事に関する本の場合は)会社
  • 借りる場合
    • 最寄りの図書館
    • 大阪府立図書館(蔵書数が多い)

読書フロー

読書前

 ブックカバーをつける、紙の付箋を用意する。

読書中

 気になったところがあれば、マーカーをひく、付箋を貼る。

読了

 一言感想を読書メーターに残します。特に気に入った本や、感想がある本は、このブログに【読書メモ】として記録を残しています。

 読んだ本を定量的にまとめる癖がありまして、Googleスプレッドにその記録を残しています。記録し、グラフを作り、継続的に本を読むように自分に促しています。

読書のツール

電子書籍用

 楽天koboを読むときは、kobo gloか、スマホアプリ。Kindleを読むときは、Fire HD8か、スマホアプリを使います。そろそろ電子書籍リーダーを新調したいのですが、最近は値段が高いから萎えますね・・・

物理書籍用

 ブックカバーは、良いのを見つけるとつい買ってしまいます。

 どこまで読んだか覚えておくために、LastLineというブックマークがお気に入りです。文房具屋で見つけたときは買いだめします。

 椅子に座って、お茶飲みながら本を読むときは、この書見台が愛用品。EDISONのほんたった

共通

 さきの「どこから手に入れるのか?」で図書館を利用することを書きましたが、それようにツールを作ってます。カーリルのAPIと連携し、お気に入りの図書館に読みたい本の在庫があるか?貸出可能か?また、古本で買うといくらなのか?を毎朝調べてくれるツールをGoogle App Scriptで作りました。ツールが調べた結果を毎朝スマホのTodoアプリに連携してくれます。ふと図書館の近くに立ち寄ったときに、「いま借りられる本」が分かるようにしているわけです。

本を読む場所

 リビングテーブルで読むことが多いです。お出かけのお供に、文庫本や電子書籍をかばんの中に携えています。

その他の蛇足

 図鑑や、地図が好きなので、たまに買ってしまう。こういうの(世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語)や、

こういう(マップス 愛蔵版 新・世界図絵)の。

 小さい子どもがいるため、読む本の冊数という点からは、絵本が圧倒的に多いです。

出口治明さんが「教養は児童書で学べ」という本も書いておられますが、絵本も「書籍のカテゴリのうちの一つ」なんだということが最近理解できてきました。絵本は子どもだけのための本ではない。一冊で一つの考え(課題)を与えてくれるといった絵本が、たくさんあると思います。

読書について

 読書は一人になれる時間です。好奇心をかきたてる手段です。自分の長期記憶に入っている何かと、本を通して新しく知った何かが、結びつく経験を、手軽に、おうちでできるのが読書です。

 別の視点だと、同じ本を読んだ人とは文脈を共有できるので、いろいろコミュニケーションが楽になるなぁと感じています。これは他のメディア(映画や音楽)でももちろん同じだと思いますが、私にとってはそれが読書というわけです。

デッドライン読書会#10「Design It!」(前半)の感想文

課題図書

第10回のデッドライン読書会(デッドライン読書会とは?→読書×締切ではじめる「デッドライン読書会」を始めました)の課題図書は、「Design It! ―プログラマーのためのアーキテクティング入門」です。オライリー社から、2019年11月に翻訳・出版されました。今回は、本書の前半部分(最初〜226ページ、第1部と第2部)が範囲です。

訳者の島田 浩二さんが本書を紹介するブログのポストがありましたので、そちらのリンクも掲載します→https://snoozer05.hatenablog.jp/entry/2019/11/16/181626

感想文

今回のアウトプットもこれまでと同様に、最初に「全体」の感想を書いて、続いて気になった部分を「個別」として、引用にてコメントするスタイルで行きます。

全体

今回の読書会の範囲は、

  • 第1部:ソフトウェアアーキテクチャ入門
  • 第2部:アーキテクチャ設計の基礎

でした。

本書は、「チームのアーキテクト能力を高める」ことを重要視していることが特徴的なテーマだと思います。アーキテクトのロールを持つ個人がその能力を高めるためだけに本書を読むと言うよりは、チームメンバーが持つ設計力のレベルを上げるにはどういったアプローチがあるかも整理しています。序文で、George Fairbanksさんが「本書は(略)アジャイルとアーキテクチャをうまく融合させている」と言っていますし、本書原著の副題が「From Programmer To Software Architect(プログラマーからソフトウェアアーキテクトへの道)」でもある通り、「チーム」というのがキーワードであると感じました。

もう一つの特徴は設計の進め方として、デザイン思考の考え方をベースにしている点です。デザイン思考の4つの原則:

1. 人間性の規則(The human rule)
――すべてのデザイン活動は究極的には社会的な性質を持つ。

2. 曖昧性の規則(The ambiguity rule)
――デザイン思考者は曖昧性を保全せねばならない。

3. 再デザインの規則(The re-design rule)
――全てのデザインは再デザインである。

4. 触感性の規則(The tangibility rule)
――手で触れられるアイデアを作ることは常にコミュニケーションを促進する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/デザイン思考#デザイン思考の性質

特に4番目のTangibiriltyを言及することが多かったです。アーキテクチャは設計の中でも、解像度(概要と詳細)を変え、ビューポイントを変え、(システムに対する)理解を深めていく特徴があるため、その意図を関係者が理解できるように、様々な形で触れられるようにすべきというわけです。例えば、「線と箱を使いモデルをホワイトボードにスケッチ」することや、「プロトタイプのアプリやコードを作成しデモ」することなど。また、品質特性にフィットできるアーキテクチャかどうかを早めに検証するために、多様な触覚性が求められると思います。ちなみに本書ではその一例を、後半第3部16章に「設計をタンジブルにするアクティビティ」という章で深堀しているようです。後半戦に期待します。

個別

この個別部分では、気になった文章を引用して理解を深めようと思います。

優れたソフトウェア開発チームは機能を素早くリリースするために技術的負債を戦略的に利用する。

1.1 ソフトウェアアーキテクトが行うこと(P.7)

文字通り正しく負債を使うべしというところ。お金の増減をなだらかにすることを目的として負債を利用するように、チームの負荷やパフォーマンスを最適化する目的で技術的負債を利用しなくてはいけない。ただ惰性で借金はしてはいけない。

すべての優れたアーキテクチャは、変化の必然性に責任を持つ。

6.5 変化に向けて設計する(P.95)

身にしみます。そして、次節にて、拘束力のある判断はなるべく遅らせるというとことがポイントとなっていますね。

私たちが選ぶ名前は、設計しているものをどれだけ理解しているかを反映している。理解が深まるにつれ、概念に付ける名前も変わる。

8.2.4 良い名前を使う(P.126)

ここでは、Arlo Belsheeさんの「7 Stages of Naming(名前づけの7段階)」が紹介されていました。Twitterで原典を発見したので下記に引用します。

チームがアーキテクチャを自分たちのものにするには、(略)必要な知識とスキルを、チームへ注ぎ込もう。これがうまくいっているとき、アーキテクトは設計判断をすべて下す権威あるリーダーというよりも、コーチやメンターのように見える。

13.2 意思決定を促し、スキルの成長を促進する(P.215)

どうも「アーキテクト」とは孤高の人というイメージがありますが(なんでだろう…)、本書のイメージは上記引用の通り。

次回(#11)

スケジュールはGoogleカレンダーで分かるようにしています。本日以降は次の要領です。

  • #11の候補書籍
    • Design It!(後半戦)
  • デッドライン
    • #10の感想交換1Week(2/24〜3/1)
    • インターバル(※今回は前半と後半の間のため、ありません
    • #11の読書する時間2Week(3/2~14)
    • #11のブログポスト期限(3/15)
    • #10の感想交換1Week(3/16〜22)

【読書メモ】闘うプログラマー

闘うプログラマー[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達」を読みましたので、読書メモです。

本の紹介

闘うプログラマー[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達」は、Windows NTの開発記録です。Windows NTは、1993年7月にリリースされましたが、本書初版は原著・翻訳書ともに、1994年に出版されています。リリース間もなく、開発に携わった当事者にインタビューを行い、本書にまとめてあります。登場人物は50〜100名いるんではないでしょうか。ゼロからOSを開発するという巨大プロジェクトの生々しい姿が、とても細かい出来事から組み立て上げられており、苦しい開発を乗り越えた経験があるエンジニアだと、感傷に浸らずにはいられない書籍です。

読書メモ

1.5億ドル、4年間、延期に延期を重ねるリリース日、止まらない要望、潰したそばから爆発するように出るショーストッパー(原著のタイトル、危機的な不具合を指す)にまみれながら、最新で革命的なWindows NTを開発するストーリーです。キーパーソンは、マイクロソフトで伝説と言われるディビット・カトラー。この人の熱量と、信念の強さがとても響きました。

  • 設計は完璧にできる、完璧にできた設計からはバグは出ない。
  • 一点にフォーカスする。それはバグだ、バグを潰せ。
  • プレイングマネージャーとして、魅せる。

良し悪しがあるのは当たり前ですが、仕事への情熱の注ぎ方はすごいものを感じました。まさに闘うプログラマーです。でも、そんな、ブルドーザーみたいなカトラーだけでは、チームはうまくまとまらず、腹心のロウ・ペラゾーリがファシリテーションの能力を発揮し、チームをまとめていく。最後はデスマーチだったが、全員でスクラムをくんで突進し、リリースに漕ぎづけるという怒涛のストーリーでした。

いくつか、気になったセンテンスがあったので、抜粋します。

マイクロソフトでは、管理者もコードを書くのが原則だ。(略)ソフトウェア会社では、管理者はプログラマーの言いなりになりやすい。スケジュールは守られず、製品は失敗に終わり、予算は膨れ上がる。すべては、現代の魔術師たちがしていることを、トップの人間が理解できないからだ。(略)マイクロソフトでは、プログラマーが管理者だ。

第五章 熊の咆哮 P.145

カトラーが途中、全チェックインを監視する!と言い出したときはびびりました。

実際、カトラーはハリウッドの偉大な監督が持つ特徴をそなえている。スターや優秀な裏方に、自分の好みやビジョンを吹き込むことができる。ユーザーに媚びることを拒否して、自分のビジョンを守り抜く(略)監督としてだけではなく、俳優や裏方としても優れた能力をもっているため、現場に密着でき、最前線にたてる。

第七章 出荷モード P.204

「自分のビジョンを吹き込む」って素晴らしい能力。

次はユーザープロファイルとプログラム・マネージャーの開発を担当したキャロルの節。ここは手に汗握ったなぁ。

キャロルはあせっていた。バグに叱責されているように感じた。

(略)

バグはつぎつぎにみつかった。

(略)

バグはつぎつぎに処理できた。一週間後には、あと一歩で「ゼロバグ」を達成できそうになった。

(略)

この朝は気になっているものがあった。それを見つけて、キャロンはうなった。エスティ・ミンツからのメールが2通ある。(略)新しいバグが2つ。

(略)

最後のバグを始末した。やった。廊下に出て、手を上げて踊って歩いた。だれかれかまわず電話して、「ゼロ・バグ」を自慢した。

第十章 ショーストッパー P.350〜353

そういえば、本書の後半の中心は、ビルド・ラボ。ホワイトボードに書かれたチェックイン一覧をみながら、それを最新のビルドに組み込むか決める。そこにはカトラーも出張ってきて(出張ると言うか、自分の家だって言ってたかな・・・)、ビルドと自動テストの出来に一喜一憂。ここからドッグフーディング用のビルドが配信されるため、まさに最前線です。

この本が読みやすいかといえば、インタビューを集めてストーリー調にしてある、かつ、登場人物は出自から書かれてあり、けっこう読むのが大変でした。ただ、プロジェクト型の仕事をしたことある人や、ちょっと昔のWindowsを知っている人は、「こんなことにまみれながら、作られていったんだ!」と感動を得られると思います。読んでよかったです。

以上です。

【読書メモ】トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦① ブランド人になれ!

CCCメディアハウスが出版した「トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦① ブランド人になれ!」を読みましたので、その読書メモです。

本の紹介

トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦① ブランド人になれ!」は、翻訳書である本書の出版が、2000年です。原著の「The Brand You 50」は、1999年が出版でした。すでに20年前の本になるのですね。先輩からの紹介で手に取りました。

トム・ピーターズさんは、マッキンゼーのコンサル時代に、あの「7つのS」を開発した人としても有名な方です。ホームページはこちら→https://tompeters.com/

本書はタイトルに番号がついている通り、シリーズ(サラリーマン大逆襲作戦シリーズ)ものです。②が「セクシープロジェクトで差をつけろ!」、③が「知能販のプロになれ!」と続いています。

読書メモ

ブランド人とは、自分の人生・自分の仕事に、責任を持ち、「あいつらのせい」なんて言わずに、新しいミレニアム(ってもう20年たっちゃいましたが)を、(文字通り)生き抜いていく人をさしています。ブランド人になるために必要な、ものの考え方や、ノウハウ、気合いを50カテゴリあげています。50ある時点ですでに多いのですが、50それぞれに「やってみよう」という実践セッションがあり、読者ができる具体的なアクションが列挙されています。それをすべて足し合わせたら、200〜300くらいやることがあるなんとも熱い本です。ちなみに、200〜300のうちの1割は「前のページをもう一度読め!」とか「前の項目を口に出して10回読め!」みたいなものです。大事なことだから繰り返しましたってことですね^^

本書でとにかく何度も言われることを私の覚えで箇条書きにすると、

  • 自分は会社だ。「○○○○株式会社」(○は自分の名前)と思え。
  • まずはアクションしよう、それもいますぐに。実ることに時間は書かあるかもしれないけど、動き始めるのは今だ。21歳も51歳も関係ない。いま実行だ。
  • 仲間を増やそう。相棒を増やそう。朝食、ランチに誘うのだ。
  • ○○○の会を作ろう。みんなで議論するのだ。
    • 例えば、「ブランド人クラブ」、「時間に悩めるものを救う会」、「アイデンティティ勉強会」、などなど
  • つまらない仕事は、胸の高鳴るプロジェクトへ変えるチャンスだ。
  • 一点に集中しよう。

さきほど20年前の本だと書きましたが、書かれている内容はまったく色褪せないです。世の中は、むしろトム・ピーターズさんの予言通り「ブランド人」がどんどん増えている印象があります。所属する組織や団体以上に名前にブランドがある人たちです。ちょっと時代を感じさせるなと思える「名刺」についての教訓ですらも、「いまっぽくEightに突っ込んどけばよいか」と思っていた自分は、ちょっと反省する必要がありました。名刺は何度も見返し、そこから仲間を増やすのだと。

お正月に、今年一年の計ということで「やってみたいこと」を100個作りましたが、その中に「見識家の話を聞く」(賢い人の講演を聞きに行く、みたいなイメージです)といった項目がいくつかあります。この本を読んで、ただ話を聞きにいくのではなく、ランチにお誘いしてみるなど、次に繋がるようなアクションに変えてみたほうが面白そうと。失うものもないので、失礼に当たらないようにして・・・。

具体的なアクションに、勉強会や、セミナーに参加しましょうといのうがあって、そのなかに「トーストマスターズ」に顔を出してみなさいというのがありました。トーストマスターズというのを知らなかったため調べたところ、

トーストマスターズは話し方、パブリックスピーチ、リーダーシップを学ぶ国際的な非営利団体です。全世界143ヵ国にある16,600 以上のクラブから自分にあったクラブを選び、会員同士が相互に学び、スピーチとリーダーシップスキルを向上させることが目的です。

http://district76.org/ja/about/

いま自分に必要なやつだ。日本にも200クラブくらいあるとのことで、隣町にもクラブがありました。一度ゲスト扱いで参加させてもらおうかなぁ。

最後になりましたが、本訳の品質について。本書は洋書の翻訳書ですが、著書トム・ピーターズの気概や勢いもそのまま伝わってくるとても良い翻訳でした。後続のシリーズはもちろんのこと、(人となりも分かったような気がするので)「エクセレント・カンパニー」も読んでみたいと思いました。ただ、、本を読むより前に、本書のアクションをまずはやれっていうところなんでしょうが・・・がんばろう。

以上です。

デッドライン読書会#09「IT業界の病理学」の感想文

課題図書

第9回のデッドライン読書会(読書×締切ではじめる「デッドライン読書会」を始めました)の課題図書は、「IT業界の病理学」でした。2019年11月に発行された書籍です。今回は1回で全ページ分を読む回になります。

感想文

感想文です。全体を通して感じたこと、個別に気になった部分へのコメントをまとめます。

全体

感想の前に、本書の構成を説明します。

本書では、IT業界に存在する「病」を、研究して治療・予防することを目指して病理学とうたっています。各章が病名となっており、症例は合計34ありました。それらに対して、

  • 症状と影響
  • 原因・背景
  • 治療法
  • 予防法
  • 異説
  • 補足

という切り口で対処方法などをまとめています。

本書で取り上げられた「病」は私も見たことある(罹ったことがある!?)ものがあり、各章のタイトルだけ見ても「それね!」と思うものが多々ありました。例えば、

  • 「運用でカバー」依存症
  • プロジェクト管理無計画病
  • 再発防止につながらないトラブル解析

各章は著者らの現場での実体験に基づくものが多く、必ずしも読者の現場(や、その病)にはぴったり当てはまらないかもしれませんが、各章で上がった症例の着眼点や病理学の切り口が参考になり、自身で過去の苦い思い出を思い出しつつ、自分で分析するのが面白そうだなと感じました。

個別

本書で個別に気になった部分をまとめます。

キーワードは「歯を磨くように」です。

2-01 全部揃ってからレビュー P.55

なにかのレビューをするときにビッグバン的に全部揃ってからレビューをスタートするのではなく、気軽にカジュアルに小さな単位で進めましょうというメタファーです。この歯科治療のメタファーはちょっと面白いと思って、メモ。

■設計ドキュメントに記載されていない内容はテストされない(テストが漏れる)

■テスト担当者の大きな責任の1つは、設計レビューのレビューワー全員が見落としている欠陥を指摘することであると考えている

2-06 テストケース肥大病 P.77

ちょっとこの記載は微妙と思いました。

ここでいう設計ドキュメントに記載されていない内容とは、(ドキュメントは横においといて)「設計されているもの」だろうか、「設計されていないもの」だろうか、それともいわゆる「当たり前品質」的なものだろうか。気づきレベルではテスト担当者が指摘できるかもしれないが、それを最後の砦と役割付けるのだけではなく、もう一歩の改善策が必要なんだろうな。

QAW(Quality Attribute Workshop)という手法を使うと効果的です。QAWは、そのソフトウェアに対して、将来にわたり、どのような品質特性(性能や使い勝手など)を求められるかについて、関連部門(マーケティング、営業、評価、運用部門など)のキーマンを集め、ワークショップを開いて、関係者で予測・合意するものです。

3-01 困りごとが解決されないヘルプデスク P.83

QAW…はじめて聞きました、勉強不足・・・。ネットで調べましたが、日本語の解説が特に見つからなかったので、出処と思われるSoftware Engineering Institute(SEI)の資料を見つけました。ご参考までに。

ワークショップで作る成果物(目的)は、アジャイルサムライで言うインセプションデッキに近いものですね。インセプションデッキの内容を一部掘り下げ、より品質特性にフォーカスした議論を追加すると行った形式もありかもしれません。

会議では「三現主義:現場、現物、現実の重視」を必須ルールとします。

4-06 問題解決のための会議に当事者が参加していない P.131

この三現主義という言葉が気に入ったのでピックアップ。NRIの用語解説の説明が詳しかったです。→NRI用語解説 経営戦略・事業戦略 三現主義
3 Reality Principle

受託開発下において、「現」をないがしろにしてしまう雰囲気をよく感じます。ここでいう「現」というのは、例えば、「ソースコード」、「開発の現場」、「エンドユーザーの現場や気持ち」、「(サーバなどの)本番環境」、など。こういった「現」に対して勘がちゃんときくように、

  • ソースコード/本番環境
    • プログラミングする能力を始め、ソフトウェア開発の基礎スキル
  • 開発の現場
    • チーム運営や、評価、プロジェクト管理スキル
  • エンドユーザーの現場や気持ち
    • ヒアリング能力や、チェンジマネジメントに関する知識、懐に入るひととなり

といったことは日々研鑽しなくてはいけないな〜と思います。身にしみる。

治療法

「その解決策を1年前に知っていたら、今回のトラブルは発生しませんでしたか?」

4-07 再発防止につながらにトラブル解析 P.133

このキラークエスション、良いですね。当時知っていたら、もしくは、当時実行していたら、そのトラブルは発生しなかったかを、振り返りの際、深堀の観点として入れるとより良い議論ができそうです。なぜいま(振り返りの際には)気づけたのに、それを当時(問題が発生した時点)は気づけなかったのか、もしくは、実現できなかったのか。などなど。

次回(#10)

スケジュールはGoogleカレンダーで分かるようにしています。本日以降は次の要領です。記念すべき#10の書籍はまだ決まっていません。候補はこのあたりでしょうか。

  • #10の候補書籍(検討中)
    • Design It!
    • INSPIRED 2nd Edition
    • フィンテックエンジニア養成読本
    • チーム・ジャーニー(ただし、2020年2月17日発刊)
  • デッドライン
    • #09の感想交換1Week(1/27〜2/2)
    • インターバル(2/3-9)
    • #10の読書する時間2Week(2/10~2/22)
    • #10のブログポスト期限(2/23)

【子育て】4歳児の読書

昨年第二子をさずかったことをきっかけに本ブログの過去ポストを読み返しました。自分で書いたにも関わらず3年も立つと、時をまたいで役に立つものですね。長女が小さい頃に、こんなことを考えたり苦労していたんだってことを思い出しました。

せっかくなので次女の誕生をきっかけに、育児関連も再び書こうと思います。今回は、上の子の4歳児の読書(絵本)について整理しておこうかなと、書き始めました。

4歳児の読書

テーマは「4歳児の読書」です。

4歳児は読み聞かせ黄金期と言われる通り、絵本を落ち着いて聞いていられるようになる年頃です。幼稚園・保育園でも読み聞かせの時間もあります。パラパラとページをめくっていただけの子が、自分で文字を追って読むようになるタイミングかもしれません。

我が家の場合は、とにかく寝る前の「今日は何冊!?」(by こども)と戦う日々です。「2冊」→「少ない!」。「4冊」→「良いよ!」→(読み終わったあとに)「足らない!あと1冊!!」。たくさん絵本に興味を持ってもらえるのはとても嬉しいのですが、喉と睡魔が大きな壁になります^^;

絵本の選び方

私が絵本を選ぶ際にはいくつかカテゴリがあります。しっかり分類されたカテゴリではなく、子供が好きそうな(もしくは親が好きそうな)領域を自然に作っていたという感じです。本を購入する際や、図書館で借りる際に意識しています。そのカテゴリと例を、まずはまとめてみました。

1.シリーズものでお気に入りを見つけてみる

同じ登場人物・キャラクターを使って複数冊の絵本が出版されているモノです。一度、当たりのシリーズを発見すると、そのあとそこからひけるので、本を選ぶことに安心感がうまれます。4歳にちょうどよいシリーズモノといえば、例えば、

ねずみくんの絵本のシリーズ

ねずみくんと動物のお友達の話。赤いチョッキがトレードマーク。

ぱおちゃんのシリーズ

ぞうのぱおちゃんと友達のお話。園の生活を絵本にしているようなお話が多いです。

ルラルさんのシリーズ

大きな庭の一軒家に住むルラルさんと周りに住む動物たちのお話。ルラルさんはいっけん強面(こわもて)だけど、のんびりとした正確なところは親もほっこりします。

おさるのジョージ、ひとまねこざるのシリーズ

おさるのジョージは有名ですね。昔の作品の名前は「ひとまねこざる」といいます。ひまねこざるのほうが絵本のページ数は多いです。倍くらい。

バーバパパえほんのシリーズ

いまだにバーバパパがなにものかは分かりかねますが(おばけ?植物?わたあめ?)、絵本を通して、自然破壊や、教育問題への追求もあったりと幅広いお話。バーバパパの家族の名前を覚えるクイズゲームがけっこうおもしろい。

他にもミッフィー(うさこちゃん)、アンパンマン、のんたん、ぐりとぐら、こぐまちゃんえほん、11ぴきのねこ、だるまさんシリーズ、などがあります。

2.作風が好きな作家さんで選ぶ

お気に入りの絵や、作風を覚えておき、作家さんで選ぶというカテゴリです。たとえば、

◆せなけいこ さん

切り絵調の絵が素敵。たくさんのおばけを覚えることができます。童謡の歌詞をそのまま題材にした絵本もあります(ねこふんじゃった、など)。今冬は、せなけいこ展も開催されています。

◆村上康成 さん

柔らかく、特徴をデフォルメした絵を描く作家さんです。魚のやまめの絵などは有名です。私は下の「星空キャンプ」を読んで、子供とこんな生活がしたいなーと憧れています。

他にも、五味太郎さんや、長新太さん、ヨシタケシンスケさん(あとからもう一度でできます)、などなど、お気に入りの作家さんを意識して探すと楽しめると思います。

3.昔話をいろんな絵本で読む

昔話は同じ話を様々な作者が書いています。「はなさかじいさん」を例にとっても数十冊はあるんじゃないでしょうか。それを横断的に読むのも面白いと思います。

ちなみに我が家では昔話を狙って図書館で探すのが大変だった(あるのはあるけど、古くてぼろぼろ、もしくは今の年齢の子供の集中力にあった文字数の絵本がなかなか見つからない)こともあり、シリーズで入っている、ポプラ社の「はじめての世界名作絵本」を買いました。いわゆるアニメ絵本です。一冊辺り350円という値段が素晴らしい。第一期で買ったときには30冊まで出揃っていましたが、いまや第四期60冊まできているようです。最終的には2020年10月で第六期80冊まで出るようです。

4.自然科学も大事

理系っぽい絵本ですね。地域の図書館でも小さくても専門のコーナーがあると思います。虫や動物、自然、季節の絵本など。ちょっと理科っぽい本を読んであげたいときに選びます。薄い本だと「ちいさなかがくのとも」のシリーズも良い。

5.定番を漁る

自分自身もも読んでもらった覚えがあるような何十年も読み続けられているような絵本です。あげだしたらキリがないでしょうが、例としては、

などなど。

6.読み手の大人も楽しめる

読み手の親も楽しめたり、学べたら一石二鳥ですよね。下の選書は私の趣味も混じってますが、例えばこんな絵本です。

ヨシタケシンスケ さんの絵本

絵本の内容が深いです。物事をよく考えよう、違う視点もあるんだよ、様々な多様性なども教えてくれる作品が多いです。いちど親がはまると新作含め全部読みたくなります。絵も可愛いく楽しいので子供ももちろん楽しめます。

コップってなんだっけ?

考え方、アイデアの発散の仕方を学べる絵本。

せいめいのれきし

地球ができてから、現在までの歴史をお芝居形式で楽しめる絵本。作者のバージニア・リー・バートンさんは、本書を作るために博物館にこもってこつこつ調査したそうな。いまは改訂版が出ていて出版当初の良さを残したまま、新しい見識もちゃんと反映されています。

絵本の手に入れ方

我が家はまずは図書館での貸し出しを頼りにしています。

地元の図書館は一人2週間15冊まで借りれるため、その枠で隔週で図書館通いをしています。お財布的に本当に助かる、これだけでも税金を払っている意味があると感じます。。。w

ちなみに図書館には、普通の絵本はもちろんのこと、大型絵本(子供の布団くらいありそうな)や、紙芝居など、ちょっと変わり種もありますよね。たまには趣をかえて、紙芝居で読み聞かせをすると、楽しいです。お友達が集まって遊ぶときにも重宝します。(ちなみに紙芝居は読み聞かせではなく、演じるものとのこと。奥が深い!参考:紙芝居ネット 紙芝居の演じ方

図書館で、借りて読んで、良いなと思った絵本は、その段になってはじめて買うことが多いです。もしくは何かのメディアで紹介されていて一目惚れで買う!といったこともあります。それでも、さきほどの「はじめての世界名作絵本」のシリーズを除けば、月に1冊買えば多いほうです。

おわりに

4歳の長女との付き合いで学んだ絵本のことについてまとめてみました。頑張ってカテゴリわけしてみようかなと思いましたが、まだまだ分けきれず。当てはまらない絵本もたくさん借りています。図書館の棚で見つけたものを文字の量とフィーリングで選ぶことが多いです。

次女が4歳になるときにはこの記事+αの知識で接することができると良いなと思います。