非機能要件定義するときに参考にするとよい資料

0.前置き

非機能要件定義って難しいなって思う今日この頃です。定義をする順番、業務要件定義との兼ね合い、参考にする資料の乱立などなど。

将来に備えて、今まで学んだことを少しまとめておこうと思います。今回は「参考にするとよい資料」です。後半では非機能要件定義をするうえで押さえておくべき各領域の知識を補える書籍を紹介します。

もともと2012年に書いたブログですが。2018年1月13日に見直しと大幅な加筆をしました。

 

1.「参考にすると良い資料」の紹介

非機能要件全般を押さえるために適している資料をまずは紹介します。特に1つめの非機能要求グレードは必ず押さえておくべき良い資料です。

 

非機能要求グレード

情報処理推進機構(IPA)にて公開されている資料です。URLは以下を参照してください。
非機能要求の見える化と確認の手段を実現する「非機能要求グレード」の公開
顧客と一緒に、非機能要件をにぎりましょうというコンセプトで書かれており、委託側の観点も配慮されています。要件の詰め方、参考事例なども掲載されており、今の私にも聖書的な存在です。無料で公開されています。
なお、非機能要件定義の課題、非機能要求グレードの位置づけ・役割・手順・効果などをまとめたページも公開されています。下記を参照ください。
エンタプライズ系事業/非機能要求グレード

 

非機能要求仕様定義ガイドライン

日本情報システムユーザー協会(JUAS)が作成している資料です。残念ながら書籍でしか出ていないです。

非機能要求仕様定義ガイドライン(UVCプロジェクトⅡ 2008報告書)

この資料の良いところは、非機能要求仕様の各項目をシステム開発フェーズのいつで考慮すべきか、いつ掘り下げていくべきかが書いてあることです。また第2章に「非機能要求とは何か」という章があり、世の中でうたわれている多くの非機能要件(要件)の定義をまとめていて参考になります。

 

自社の非機能要件資料用テンプレート

自分の会社の品質管理部隊や標準化部隊がまとめたテンプレートです。社内の様々な事例を集めて、自社の業務ドメインに関するノウハウが詰め込んであるものであれば参考になると思います。ただし、参考文献がない手のものは項目の網羅度に不安を覚えます。

 

2. 各非機能領域で参考となる書籍

非機能要求グレードに記載のある通り、非機能要件は「可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・エコロジー」の6つの領域で整理していきます。それぞれの領域で深堀する際に参考となる書籍を記載しておきます。ただし単独で参考になる書籍がまだ見つかっていない領域もありますので、予めご容赦ください。

 

可用性

SRE サイトリライアビリティエンジニアリング ―Googleの信頼性を支えるエンジニアリングチーム

Google社のシステム管理・運用管理の方法論をまとめた書籍。いかに人を介さず可用性の高いシステムを作り上げるか、論文形式でまとめています。

 

性能・拡張性

アート・オブ・アプリケーション パフォーマンステスト

パフォーマンステスト(負荷試験)のノウハウ集です。少し日本語訳が悪いですが、体系だったまとまっています。日本語に翻訳されて10年たちますが、まだまだ使えます。

 

Amazon Web Services負荷試験入門―クラウドの性能の引き出し方がわかる

パブリッククラウドを対象とした負荷試験の入門書籍。ステップバイステップで負荷試験のイロハを学べます。オンプレミスとして読み替えることももちろんできるので汎用的です。

 

運用・保守性

前述のサイトリアイラビリティエンジニアリングが参考になります。ただ他に参考書がほしいところです。

 

移行性

よくまとまった書籍はないです。しかしながら移行計画書はGoogleで検索するといくつか見つけることができます。

 

セキュリティ

体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方

徳丸氏の書籍。Webアプリケーションで抑えるべきセキュリティの関心ごとについて網羅的にカバー。

 

安全なウェブサイトの作り方(IPAのサイト)

こちらは書籍ではなくて、IPAの解説サイト。もっとも基本的な方針について説明している。

 

システム環境・エコロジー

特になし。

 

3. 最後に

総論から各論まで参考になる資料をまとめてみました。各論部分はまだ説明ができていない箇所があるので、随時更新していきたいと思います。

 

コメントを残す